成魚は水深30~200mの岩礁や砂礫底の底付近に生息する。肉食性で、小魚、甲殻類、頭足類、貝類など小動物を幅広く捕食する。養殖マダイは年間8万トン余り生産されているが、主産地は愛媛県宇和島市とその周辺で、全国シェアの45%程度を占めている。他の産地は熊本県、三重県、長崎県、高知県、和歌山県などである。陽光の差し込む水深では日焼けして体色が濃い褐色となり商品価値が下がるため、マダイの養殖生簀の上には通常黒いネットを張って日焼けを防いでいる。
魚種豆知識
日本では古くからマダイは鮮やかな赤い体色と「メデタイ」との語呂合わせから、めでたい魚と考えられ、慶祝事や神道の祭において欠かせない高級食材とされてきた。また、マダイにあやかってタイ科魚類は勿論、マダイと似た扁平な体型や赤い体色であればタイ科以外の魚でも総称して「鯛」と呼んだり、○○鯛という名の付いたものが多く見られる。
ことわざとして、「海老で鯛を釣る」 – マダイの釣り餌に小さなエビを用いることから転じ、小さな元手で大きな利益を得ることを例えたもの。「腐っても鯛」 – マダイは鮮度の落ちが遅いことから転じて、時を経てもかつての力や価値を失わないことを例えたものがある。
養殖方法
近大マダイは選抜育種による品種改良の結果、成長が早く、優れた形質をもったマダイです。またストレスを軽減させるため低密度養殖とすることで綺麗な魚に仕上げています。飼料にはハーブやゴマ油を添加しています。
養殖の歴史1955年 兵庫県明石産のマダイを放養し、親魚養成を開始。 1964年 人工採卵、稚魚の育成に成功。
生産現場の様子
1955年 | 兵庫県明石産のマダイを放養し、親魚養成を開始。 |
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1964年 | 人工採卵、稚魚の育成に成功。 |
マダイは通常は春に産卵しますが、近畿大学では春と秋の年2回採卵し種苗生産を行います。こうすることで1年中同じサイズの養殖マダイを流通させることが可能になります。