出店の経緯
近畿大学水産研究所は、戦後、世耕弘一 初代総長の「海を耕し、海産物を生産しなければ日本の未来はない」という理念のもと、和歌山県白浜町に臨海研究所(現:水産研究所)として開設されました。
当時は遠洋漁業しか無かった時代であり、研究は困難を極めましたが強い信念と確かな裏付けにより研究を進め、世界初となる画期的な数多くの研究成果を収めてきました。例えば、海産魚養殖の手法として世界中で普及している「網いけす式養殖法」は、1954年に近畿大学が初めて研究に着手したものです。


また、1965年に世界で初めてヒラメの人工ふ化による種苗生産を実現して以来、現在までに18魚種で世界初の種苗生産に成功し、2002年には不可能と言われたクロマグロの完全養殖を、32年の歳月をかけて成功させました。これらの研究成果は日本国内だけでなく世界中の養殖産業に導入され、水産資源の増産と安定供給に大きく寄与しております。
そして現在、クロマグロを始めとする天然水産資源の減少がますます危惧される中、水産養殖のパイオニアである近畿大学が、社会に対して率先して養殖魚の価値を問いたいと考え、「養殖魚専門料理店」の出店にいたりました。
近畿大学が研究し育てた、安全で安心、そして美味しい養殖魚を広く皆様に味わっていただくことで、養殖魚の魅力を感じていただければ幸いです。
また、養殖魚の魅力を発信することはもちろんですが、近畿大学の建学の精神である“実学教育”に基づき、お客様からいただいたご意見やご感想を、研究現場にフィードバックして次の研究に生かすことや、学生へのさまざまな教育の場としてもこの店舗を活用しております。
大阪店・銀座店について
「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所」大阪店・銀座店については、稚魚から成魚にいたるまで近畿大学が育てた、近畿大学産の養殖魚のみを提供しております。
和歌山県の白浜・串本・大島・浦神・新宮、そして奄美大島などを中心とした生簀で手塩にかけて育てた安心・安全、新鮮な魚たちです。クロマグロを始めとした、マダイ、シマアジ、カンパチ、クエなどの近大卒の魚たちは、お刺身はもちろんの事、当店お薦めの調理法でお召し上がりいただけます。


これらの魚は、育て方はもちろんのこと、養殖魚ならではの新鮮さをお届けするために、出荷に至るまでの処理や、店舗で提供するまでの流通についても注意を払っております。
また、魚以外の食材については、水産研究所等の施設が多数所在し、近大の養殖魚を育んできた和歌山の食材にこだわっております。
近畿大学水産研究所はなれ グランスタ東京店について
3店舗目となる「近畿大学水産研究所はなれ」では、大阪店・銀座店とは異なり、近畿大学が生産した完全養殖の稚魚を日本各地の養殖業者が育成した「近大生まれの魚」を中心に提供しています。完全養殖とは、人工ふ化した仔魚を親魚まで育ててその親魚から採卵し、人工ふ化させて次の世代を生み出していくもので、天然資源に依存しない持続可能な養殖業を確立するには不可欠な技術です。
大阪店・銀座店と同様に、グランスタ東京店についても近畿大学の建学の精神である「実学教育」を実践する場所としても活用しています。学生揮毫の書作品を店内インテリアに取り入れたり、学生が開発に係わったメニューを提供したり、学生の成果を発信する取り組みを行っています。